解答速報/入試分析
2025年1月21日
私立医学部専門予備校プラタナスです。本日2025年1月21日(火)愛知医科大学の入試がありましたので、生物に関して出題内容と今年度の入試トレンドの分析を行います。
明日以降の医学部入試に役立ててください!
バイオテクノロジー
【バイオテクノロジーで用いる用語】
・制限酵素→DNAの数個の塩基配列を認識して, DNAを切断する酵素。
※元々は防衛のために,細菌がウィルスDNAを切断するために持っていたもの
(ハーシーとチェイスの実験で大腸菌とバクテリオファージの関係を思い出そう!)
・DNAリガーゼ→DNA断片を結合する酵素
※切り口の塩基配列が同じでないと,DNAリガーゼで結合することはできない。
・プラスミド→細菌内にある小型の環状DNA。
・ベクター→ウィルスなどの遺伝子の運搬体。
・プライマー→増幅したい両端と相補的な塩基配列をもつ15~20塩基程度の1本鎖DNA。
(生体内での複製のときはRNAプライマーである)
【制限酵素問題の指針】
(i) 制限酵素の切断面の図が2つ以上与えられたら,切断面が同じものを探す。
(ii) 基本的に切断面が同じものがあるので,それを利用して解く。
(iii) 異なる制限酵素で切ったものを連結した場合,再び同じ制限酵素では切れない。
(切り口のではない両側の塩基対を見てみると制限酵素で切断できる塩基対とは異なっているため)
【計算】
6塩基対を認識する制限酵素の場合,塩基がランダムに並んでいるならば理論上46塩基対(46=212=4096塩基対)あたり1か所切断されることになる。
【知識】
・植物細胞に遺伝子導入する場合は,「アグロバクテリウム」を用いて植物細胞に寄生させる。
・遺伝子導入をするときに,1種類の制限酵素で切り出すと「逆向き」に結合してしまう可能性があるので,2種類の制限酵素を用いた方が効率的に遺伝子を導入することができる。
被子植物の配偶子形成
■花粉母細胞(2n)→(減数分裂)→花粉四分子(n)→花粉→雄原細胞(n)+花粉管細胞(n)
→雄原細胞が分裂し,2つの精細胞(n)
■胚のう母細胞(2n)→(減数分裂)→胚のう細胞(n)→(3回の核分裂)
→反足細胞(n)×3,中央細胞(n+n),助細胞(n)×2,卵細胞(n)
【知識】
減数分裂をするときの細胞の名前は頻出。核相と共に覚えていこう。
→減数分裂を行うタイミングを覚えることで,核相を一つ一つ覚える必要はなくなる。
雄原細胞が分裂し,2つの精細胞になる。
胚のう細胞ができる過程で,1つの大きな細胞となるのが胚のう細胞,残り3つは退化する。それから3回の核分裂を経て,胚のうができる。
重複受精のまとめ(被子植物のみ)
・精細胞(n)+卵細胞(n)→受精卵(2n)→やがて胚になる
・精細胞(n)+中央細胞(n+n)→胚乳(3n)
※助細胞にあるルアータンパク質により花粉管が胚のうへと誘引される。
※裸子植物の胚乳は胚のう細胞由来のため,核相はnであることは押さえておこう。
【実験】
東山哲也らの研究によるトレニアという園芸植物を用いた実験
胚のうの一部が裸出しているので,受精前に助細胞をレーザーで破壊すると花粉管が誘引されないが,卵細胞をレーザーで破壊しても花粉管が誘引されることがわかった。
神経の伝達
■伝達の仕組み
① 軸索末端まで活動電流が伝導されると,電位依存性カルシウムイオンチャネルが開き,Ca2+が流入する。
② Ca2+はシナプス小胞とシナプス前膜とを膜融合し,エキソサイトーシスにより,神経伝達物質を放出する。
③ 神経伝達物質はシナプス後細胞の受容体(リガンド依存性イオンチャネル)に結合し,興奮性ならばNa+,抑制性ならばCl-を流入させる。
④ 膜電位を変化させ,閾値以上を超えると活動電位が発生する。
神経伝達物質とシナプス後電位
■神経伝達物質
・興奮性→アセチルコリン(運動神経・副交感神経),ノルアドレナリン(交感神経),グルタミン酸,ドーパミン,セロトニン
・抑制性→GABA(γ―アミノ酪酸),グリシン
■シナプス後電位
・EPSP(興奮性シナプス後電位)
シナプス後膜のナトリウムチャネルが開き,Na+が流入し,膜電位が正の方向に変化する「脱分極性」が生じる。
・IPSP(抑制性シナプス後電位)
シナプス後膜のクロライドチャネルが開き,Cl+が流入し,膜電位が負の方向に変化する「過分極性」が生じる。興奮の伝達を抑制する。
トレンド分析
・遺伝子のバイオテクノロジーの「PCR法」「ブルーホワイトセレクション(青白選別)」「サンガー法」は資料集などを見てマスターしておこう。
その実験をベースとして設定に応じた解答をできるようにしておくこと。
・植物の配偶子形成,重複受精,自家不和合性,ABCモデルはチェックしておくこと。
・神経の「伝導」「伝達」は説明できるようにしよう。また神経を刺激した場合の膜電位の変化(オシロスコープの問題)はできると強い。電極の差し込みが細胞外か細胞内か,どちらが記録電極か基準電極かに注意しよう。また電位も「1本のニューロン」か「神経束」かで,全か無かの法則に従うか否かに注意が必要です。
あとはこれから続く医学部入試では「免疫」「発生生殖」の分野も出題される頻度が高いと思われるので、免疫は自然免疫,獲得免疫を中心に確認しよう。
発生生殖は「誘導に実験(中胚葉誘導,神経誘導,誘導の連鎖)なども確認しておくと良いです。
明日の岩手医科大学に向けて
例年通りであれば,「生態系」「進化・系統」の出題はないと考えられます。
そのため,それ以外の知識的な部分を直前に復習すると良いでしょう。
「バイオテクノロジー」「生殖・発生」「体内環境」「環境応答」は毎年,出題されているため,苦手な部分を直前に見ておこう。
ただ,新課程のことを考慮すると,「進化・系統」の出題があり得るかもしれないので,余裕のある受験生は直前に確認をお勧めします。
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