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【2026年私立医学部入試予想】血縁度と利他行動|頻出の理由と解き方

解答速報/入試分析

2026年1月18日

生物選択者に特化した私立医学部専門予備校のプラタナスです。

本稿では、先日公開したブログ「【私立医学部生物】2026年入試予想|市原vs橋本が読む最新トレンド」においても記載した「血縁度と利他行動」を解説していきます。

医学部志望の方はぜひご一読ください。

youtubeチャンネルもぜひご確認ください。
※大学別の生物予想問題は「【2026年度私立医学部入試】 生物入試分析と出題予想(大学別一覧)」から確認できます。
※大学別の小論文/面接のまとめは「【私立医学部受験】面接・小論文対策の全体像と大学別分析まとめ」から確認できます。

はじめに|なぜ血縁度と利他行動が医学部生物で狙われるのか

医学部入試における生物は、ここ数年で明確な変化を見せています。それは、単なる用語暗記ではなく、「進化的な理由」を説明できるかどうかが問われる試験へと移行している点です。

その中で、近年特に注目されているテーマが、血縁度と利他行動です。この分野は、市原先生の入試予想ランキングで10位、橋本先生の入試予想ランキングで7位と、両名がそろって重要視している単元でもあります。

一見すると、数学的で難しそう、生態の話で医学部と関係なさそう、と感じる受験生も少なくありません。しかし実際には、血縁度と利他行動は、進化、遺伝、社会性、行動の合理性を一気につなぐ、極めて医学部向きのテーマです。

特に新課程では、「なぜその行動が進化的に維持されるのか」を説明させる問題が増えており、血縁度の理解なしに対応することは困難になっています。

過去の医学部入試での出題例

2025年 埼玉医科大学

2024年 大阪医科薬科大学

2023年 愛知医科大学

2023年 日本大学 

2023年 金沢医科大学

2023年 聖マリアンナ医科大学

2023年 獨協医科大学

2023年 兵庫医科大学

2022年 東京医科大学 (ハミルトン則・包括適応度まで)

2021年 自治医科大学

2021年 東京慈恵会医科大学

2020年 聖マリアンナ医科大学 

2020年 獨協医科大学

本記事では、本記事では、以下の事項を医学部受験生向けに徹底的に整理します。

  • 血縁度の考え方
  • 二倍体・一倍体と数値計算
  • 利他行動が成立する条件
  • 包括適応度
  • 社会性昆虫とハダカデバネズミ

血縁度とは何か ― 数字で表す「遺伝的な近さ」

血縁度の定義

血縁度とは、2個体がどれだけ同じ遺伝子を共有しているかを確率で表したものです。医学部入試では、「血縁度=仲が良い度合い」のような感覚的理解は通用しません。

遺伝子が何%一致するかということを、数学的に説明できるかが問われます。

二倍体生物における血縁度の基本

ヒトを含む多くの動物は二倍体です。

親子の血縁度:1/2

親は子に対して、遺伝子の半分を渡すよって血縁度は 1/2

兄弟姉妹の血縁度:1/2

父由来:1/2 × 1/2 = 1/4、母由来:1/2 × 1/2 = 1/4。合計して 1/2。親子と兄弟姉妹は、血縁度が同じです。

いとこの血縁度:1/8

いとこ同士は、祖父母を共有しており、親を経由して遺伝子が伝わります。

計算すると、祖由来:1/2 × 1/2 × 1/2 × 1/2=1/16、父由来:1/2 × 1/2 × 1/2 × 1/2=1/16。合計して、1/8になります。

一倍体が関わると何が起こるのか ― 社会性昆虫の核心

ここからが、多くの受験生が混乱するポイントです。社会性昆虫は「一倍体と二倍体」が混在します。ハチやアリなどの社会性昆虫では、メスが二倍体、オスが一倍体という特殊な遺伝様式をとります。

姉妹間の血縁度が 3/4 になる理由

女王蜂(2n) × 雄蜂(n)
この組み合わせを以下のように考えます。

  • 父由来の遺伝子:100%同一(雄は1セットしか持たない)
  • 母由来の遺伝子:1/2が一致

したがって、1/2(父由来)+ 1/4(母由来)= 3/4となり、姉妹の血縁度が、親子(1/2)より高くなります。これが、社会性昆虫の利他行動を説明する最大の鍵です。

利他行動はなぜ進化するのか ― ハミルトンの法則

利他行動とは

利他行動とは、自分の利益を減らして、他個体の利益を増やす行動です。これは、一見すると、進化に反するように見えます。

ハミルトンの法則

利他行動が進化する条件は、次の式で表されます。

rB > C

  • r:血縁度
  • B:受益者の利益
  • C:行動者のコスト

 →遺伝子的に得をするなら、自己犠牲は合理的

社会性昆虫の場合

  • 姉妹への利他行動
  • 血縁度:3/4

自分が繁殖するより、姉妹を助けた方が自分の遺伝子が多く残ります。これが、働きバチが繁殖せずに女王を支える理由です。

包括適応度 ― 利他行動を進化として説明する最終理論

血縁度と利他行動を学習するうえで、必ず到達しなければならない概念が存在します。それが、包括適応度です。医学部入試では、

  • 血縁度
  • 利他行動
  • 社会性昆虫
  • ハダカデバネズミ

といった話題の最終的な理論的支柱として、この包括適応度の考え方が、暗黙の前提として使われています。

適応度とは何か(まずは基本)

まず、「適応度」という言葉を整理します。適応度とは、次世代にどれだけ多くの自分の遺伝子を残せたかを表す概念です。重要なのは、長生きしたかどうかや、強かったかどうか、ではありません。

 「遺伝子を残したかどうか」だけが評価基準です。

従来の考え方の限界

古典的な進化論では、自分が繁殖して子孫を残す個体が有利と考えられていました。しかし、ここで大きな疑問が生じます。

  • なぜ働きバチは繁殖しないのか
  • なぜ自分の命を危険にさらして仲間を助けるのか

これらは、「個体の適応度」だけでは説明できない現象です。

包括適応度とは何か

この問題を解決するために提唱されたのが、包括適応度です。包括適応度とは、自分自身の繁殖による適応度と血縁者の繁殖を助けることで間接的に増えた適応度を合計したものです。

つまり、「自分が子を産まなくても、自分と同じ遺伝子をもつ個体が増えればよい」という、遺伝子視点の進化理論です。

直接適応度と間接適応度

包括適応度は、次の2つに分けて考えます。

直接適応度

  • 自分自身が子を残すことで増える遺伝子
  • 従来の「適応度」

間接適応度

  • 血縁者の繁殖を助けることで増える遺伝子
  • 血縁度を掛け算して評価する

この2つの合計が包括適応度です。

数式で理解する包括適応度

医学部入試では、包括適応度はしばしば数式的思考で問われます。ここで登場するのが、さきほどもあったハミルトンの法則です。

rB > C

  • r:血縁度
  • B:血縁者が得る利益
  • C:自分が被る損失

この式が意味することは、自分の損失よりも、血縁者を通じて増える遺伝子量が大きければ、その利他行動は進化的に有利である、ということです。

社会性昆虫と包括適応度

社会性昆虫は、包括適応度の教科書的な例です。

働きバチの場合

  • 自分は繁殖しない(直接適応度:0)
  • 姉妹の血縁度:3/4
  • 女王の繁殖を助けることで、多数の姉妹が生まれる

→包括適応度は非常に高くなる

その結果、働きバチという存在が進化的に安定し、利他行動が淘汰されないということが起こります。

ハダカデバネズミ ― 哺乳類なのに社会性昆虫型?

ハダカデバネズミとは

ハダカデバネズミは、哺乳類、地下生活、女王と働き個体が存在するという、極めて特殊な社会構造を持つ生物です。

なぜ哺乳類でも利他行動が成立するのか

ハダカデバネズミでは、以下のような条件が揃っています。

  • 閉鎖的な環境
  • 近親交配が多い
  • 集団内の血縁度が高い

結果として、血縁度が高いため、利他行動が合理的になります。社会性昆虫と進化的原理は同じです。

医学部入試での狙われ方

  • 昆虫と哺乳類の比較
  • 血縁度という共通指標
  • 利他行動の進化的説明

「生物を横断的に理解しているか」を問う良問が作られやすい分野です。

まとめ ― 血縁度は「計算」ではなく「武器」

血縁度と利他行動の単元で重要なのは、数字を覚えることや、用語を暗記することではありません。なぜその行動が進化的に正しいのかを説明できることが、医学部生物で求められる力です。

本記事で押さえたポイントは以下の通りです。

  • 親子・兄弟:1/2
  • いとこ:1/8
  • 社会性昆虫の姉妹:3/4
  • 利他行動は血縁度で説明できる
  • ハダカデバネズミも同じ原理で理解できる

プラタナスでは、このような進化・遺伝・行動を一本で理解する指導を重視しています。

暗記で止まらず、「なぜそうなるのか」を語れる生物へ。それが、医学部合格に直結する生物力です。

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