解答速報/入試分析
2026年1月18日

生物選択者に特化した私立医学部専門予備校のプラタナスです。
本稿では、先日公開したブログ「【私立医学部生物】2026年入試予想|市原vs橋本が読む最新トレンド」においても記載した「窒素同化・窒素固定(グルホシネートまで含めて完全整理)」を解説していきます。
医学部志望の方はぜひご一読ください。
※youtubeチャンネルもぜひご確認ください。
※大学別の生物予想問題は「【2026年度私立医学部入試】 生物入試分析と出題予想(大学別一覧)」から確認できます。
※大学別の小論文/面接のまとめは「【私立医学部受験】面接・小論文対策の全体像と大学別分析まとめ」から確認できます。
はじめに ― なぜ「窒素同化・窒素固定」が医学部生物で狙われるのか
私立医学部の生物入試は、ここ数年で明確な方向転換を見せています。それは、「知識量を測る試験」から「理解の深さを測る試験」への移行です。
そのテーマの一つが、窒素同化・窒素固定です。
かつてこの分野は、「硝酸イオンは還元される」、「アンモニウムイオンになる」、「グルタミンができる」といった用語暗記で対応できる分野でした。
しかし現在の医学部入試では、そこから一歩踏み込み、以下のようなことを論理的に説明できるかが問われています。
- どこで、何が、なぜ起こるのか
- 阻害されたら何が起こるのか
- その結果、植物はどうなるのか
実際、プラタナス生物講師・市原先生の2026年入試予想ランキングでは、この分野が第4位にランクインしています。
新課程では、代謝・物質循環・生態系と個体のつながりがより重視されているため、窒素代謝は「植物生理」「微生物」「農薬」「環境」のすべてを横断する“王道テーマ”になっているのです。
本記事では、以下の事項を医学部受験生向けに徹底的に整理します。
- 窒素同化
- 窒素固定
- 窒素固定細菌
- グルホシネート
- 医学部レベルの典型問題
窒素同化とは何か ― 植物はどうやって窒素を使っているのか
窒素同化の本質
まず押さえるべき結論はこれです。窒素同化とは、無機窒素を有機窒素に変える過程です。
植物は、タンパク質、核酸、ATP、クロロフィルといった生命活動に必須の物質を合成するために、窒素を有機物の形で必要とします。
しかし、植物が根から吸収できる窒素は、硝酸イオン(NO₃⁻)、アンモニウムイオン(NH₄⁺)といった無機窒素です。
この無機窒素を、アミノ酸などの有機窒素に変換する一連の反応が窒素同化です。
窒素同化の流れ
① 硝酸イオンの還元
硝酸イオン → 亜硝酸イオン → アンモニウムイオン
- 細胞質・葉緑体で起こる
- 還元反応であり、エネルギーを必要とする
② アンモニウムイオンの同化
アンモニウムイオン → グルタミン → グルタミン酸
- グルタミン合成酵素
- グルタミン酸合成酵素
ここが医学部で最も狙われるポイントです。各種有機酸から各種アミノ酸に変化する際、アミノ基転移酵素が働きます。
なぜアンモニウムイオンをそのまま使わないのか
アンモニウムイオンは、高濃度になると毒性を示す、pHを乱すという性質を持ちます。そのため植物は、速やかにグルタミンなどの無毒な形に変換する必要があります。
この「処理能力」が阻害されると、植物は正常に生育できません。ここで登場するのが、後述するグルホシネートです。
窒素固定とは何か ― 植物だけではできない仕事
窒素固定の定義
窒素固定とは、大気中の窒素分子(N₂)をアンモニウムイオンに変換する反応です。
重要なのは、以下の点です。
- 植物自身はN₂を直接利用できない
- 窒素固定は一部の原核生物だけが行える
窒素固定の特徴
- N₂は非常に安定した分子
- 分解には大量のエネルギーが必要
- 酸素に弱い反応系
この反応を可能にしているのが、ニトロゲナーゼです。
窒素同化との決定的な違い
| 項目 | 窒素同化 | 窒素固定 |
| 対象 | NO₃⁻・NH₄⁺ | N₂ |
| 行う生物 | 植物 | 一部の細菌 |
| 酸素 | 問題なし | 酸素に弱い |
| エネルギー | 必要 | 非常に多く必要 |
この違いを混同すると、入試では確実に失点します。
窒素固定細菌 ― 医学部入試で問われる代表例
① シアノバクテリア(ネンジュモ)
- 光合成を行う
- 異形細胞(ヘテロシスト)を形成
- 酸素発生と窒素固定を空間的に分離
② 光合成細菌
- 酸素を発生しない光合成
- 嫌気的条件で窒素固定
③ アゾトバクター
- 好気性細菌
- 高い呼吸速度で酸素を消費し、ニトロゲナーゼを保護
④ クロストリジウム
- 偏性嫌気性
- 酸素が存在しない環境で窒素固定
⑤ 根粒菌
- マメ科(ゲンゲなど)に共生する。
医学部での狙われ方
- 酸素との関係
- エネルギー消費
- 植物との共生関係
グルホシネート ― なぜ植物は枯れるのか
グルホシネートとは
グルホシネートは、グルタミン合成酵素を阻害する除草剤です。
阻害される反応
アンモニウムイオン → グルタミン
この反応が止まることで、窒素同化産物が作れない、アンモニウムイオンが蓄積するという二重の致命的影響が生じます。
医学部入試で問われる2つの枯死要因
① 窒素同化産物の欠乏
→ タンパク質合成ができない
② アンモニウムイオンの蓄積
→ 毒性により細胞が機能不全
どちらが主要因かを実験で見抜かせる問題が頻出です。
グルホシネートに関して、私立医学部では2023年の獨協医科大学でしか出題されていませんが、最初は東京大学で2014年に出題されました。
その後、
2018 年 横浜市立大学
2019 年 鳥取大学・立教大学
2020 年 東北大学
2023 年 群馬大学
2023 年 法政大学
2025 年 立命館大学
というように、国公立大学や私立大学で出題されるようになりました。この流れから、そろそろ私立医学部でも出題されるのではないか、と読んでいます。
グルホシネート実験問題の本質
― 植物が枯れる「直接の引き金」をどう見抜くか ―
このテーマの特徴は、「知識を知っているか」ではなく、実験から、どちらが“直接の原因”かを判断できるかを問われている点にあります。
大前提:まずここを押さえましょう
「グルホシネートはグルタミン合成酵素を阻害する除草剤である」ということは、入試問題のリード文で与えられるので、覚えなくても良いです。
グルタミン合成酵素は本来、「アンモニウムイオン(NH₄⁺)+グルタミン酸→ グルタミン」という反応を担い、「NH₄⁺を無毒化する」 「窒素同化の出発点となる」という重要な役割をもちます。
そのため、グルホシネート処理によって 同時に2つの異常 が起こります。
グルホシネート処理で起こる「2つの現象」
現象①アンモニウムイオン(NH₄⁺)が蓄積する
- グルタミン合成が止まる
- NH₄⁺がグルタミンに変換されない
- NH₄⁺が細胞内に蓄積し、毒性を示す
現象②窒素同化産物が作れなくなる
- グルタミンが合成できない
- 他のアミノ酸・タンパク質合成が進まない
- 成長が止まり、徐々に枯死する
入試問題が問うのはここです。「①と②のどちらが植物枯死の直接の引き金か」を実験から判断させる問題が出題されます。重要なのは、原因は1つに決めなければならないという点です。
解き方の基本方針
見るべきポイントは1つだけで、「何を操作したら生育が回復したか」という点です。
パターン①:有機窒素を与えると回復する場合
操作例:グルタミンなどの有機窒素化合物を根から吸収させる
結果:植物の成長が回復する
判断:NH₄⁺が原因なら、毒性は消えない→回復したということは、直接の枯死要因は「窒素同化産物の欠乏」
パターン②NH₄⁺の生成・蓄積を抑えると回復する場合
操作例:(亜)硝酸還元酵素の阻害剤を与える
結果:枯死が防がれ、生育が回復する
判断:NH₄⁺毒性が軽減された→ 直接の枯死要因は「NH₄⁺の蓄積」
まとめ ― 医学部生物入試問題で窒素代謝を制するために
本記事で整理したポイントは以下の通りです。
- 窒素同化と窒素固定は別物
- 窒素固定は細菌だけが行う
- グルホシネートはグルタミン合成阻害剤
- 実験の意図を読み取る力が合否を分ける
私立医学部生物は、「覚えたか」ではなく「説明できるか」を問う試験に完全に移行しています。この窒素代謝分野は、その象徴です。
私立医学部専門予備校プラタナスでは、このような医学部生物の思考力重視トレンドに完全対応した指導を行っています。
本記事が2026年医学部入試に向けた学習の指針となれば幸いです。
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